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反社会的勢力を排除する!~そのために必要な社内体制とは?

【第67回】 平成27年警察白書

平成27年警察白書の要約版が公表されていますので、ご紹介します。

▼ 警察庁 平成27年警察白書
▼ 要約版

今年の警察白書は、「組織犯罪対策の歩みと展望」と題した特集が組まれている点が特徴です。「暴力団情勢」をはじめ、薬物や国際組織犯罪、犯罪組織によるマネー・ローンダリングなど多岐にわたって取り上げられていますが、以下、暴力団情勢・対策を中心に本白書の指摘する事項から重要なポイントを当社なりに読み取っていきたいと思います。

1) 反社リスクの「非一貫性」の認識の必要性

まず、白書には、「今後の組織犯罪対策の取組」について、「犯罪組織は、常に法の規制が及ばない分野や、規制が緩い分野を求めて活動範囲を拡大していることから、犯罪組織の活動を助長している要因を的確に分析し、更なる規制の強化についても検討していく」との指摘があります。

昨年からの状況をふまえれば、「危険ドラッグ」を巡る攻防が分かりやすいかと思われますが、暴力団等が薬物取引を主要な資金源としている中、リアル店舗を1年間でゼロにするまで追い詰めた、旧薬事法の改正(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称:医薬品医療機器等法、薬機法)に改められた)をはじめとする厚労省や警察庁を中心とした政府主導の様々な施策・対策の実施、自治体における条例制定の動き、民間事業団体との連携など、多面的かつ迅速な対応が功を奏したと言えます。一方で、危険ドラッグの販売が、ネット通販やデリバリーに移行することで、その実態がより不透明化し、摘発の難易度が上がっている現状があります。長年、覚せい剤等の薬物取引を資金源としてきた暴力団のノウハウや販売ルートが、危険ドラッグ取引にも転用される可能性が高いと考えられることから、危険ドラッグ対策は、むしろ今、正念場を迎えていると言えると思います。

また、この白書の指摘では、「法の規制」がキーワードとなっていますが、それを「暴排の取組み」「暴排の取組みレベル」と置き換えれば、暴排の現状に正に当てはまります。すなわち、「反社会的勢力は、常に暴排の取組みが及ばない分野や、暴排の取組みレベルが緩い分野を求めて活動範囲を拡大している」ということです。

「普通預金口座からの暴排」を例にとれば、メガバンクや地銀等が積極的に暴力団等の口座を解除しているのに対し、それ以外の地域金融機関等についてはこれから本格化する、といった「時間差」がみられます。その結果、これまでメガバンク等ではスムーズに進んでいた解除の実務も、今後、いよいよ追い込まれた反社会的勢力が、地域金融機関等に対して抵抗する場面が増えることが予想され、実務の難易度や危険性はますます高くなり、実効性という意味では、「反社会的勢力との取引だと認識しながらも受け容れてしまう」「その事実が隠ぺいされる」可能性が高まるのではないかとの懸念があります。

また、既にメガバンクにおいては、暴力団等の新規口座開設が全国一律にほぼ困難となっている一方で、地方銀行等の出先(東京をはじめとする大都市圏に構えている支店)に対して、反社会的勢力が積極的にアプローチをしかけている実態もあります。地方銀行の本店が所在する地域と大都市圏等では、反社会的勢力との取引に晒されるリスクは当然ながら大きく異なります。にもかかわらず、本店からの通達・指示内容が、出先における高リスクの実態を十分に理解・反映したものとなっておらず、現場行員に対する教育不足等も相まって不適切な対応がなされているとも聞きます。

同様に、当社が最近関与した事例においても、太陽光発電や地熱発電などの新エネルギー関連事業への介入・トラブル、専門分野以外には脇の甘くなりがちな科学者系のベンチャー企業に対するアプローチ(特許権の名義変更を詐欺的に行い、パテントトロールとして悪用した事例や、IPOを念頭に資本政策の早い段階から仕手筋に連なる人脈が入り込んでいる事例等)など、従来対象となっていなかった分野や今後の成長が見込める分野にいち早く反社会的勢力が入り込み、その規制や対応の甘さにつけ込んでいる実態が明らかになっています。また、新興系・外資系の金融事業者(例えば、資金移動業者や前払式支払手段発行者など)において、反社チェックが他の金融事業者に比べて甘いといった実務面での脆弱性を突かれて、そのサービスを犯罪に悪用されたといった事例も耳にします。

これらの事例に共通しているのは、反社リスクの「非一貫性」に対する認識の不足、「脇の甘さ」です。
メガバンクと地域金融機関、本店と支店、新たな業種・業態・ビジネスモデルなど、反社リスクはその置かれた立場や状況によって異なり、必ずしも一律ではありません。反社会的勢力は、常にその取組みや規制のレベルが一段低くなっている(緩い)部分をターゲットとしており、自社内であっても、その「非一貫性」への配慮は必要となります。その配慮が足りない部分が「脇の甘さ」であり、巧妙に突かれている部分だということです。

専門家ご紹介

株式会社エス・ピー・ネットワーク

総合研究室 主任研究員 芳賀  恒人 さん

警視庁・道府県警の出身者をはじめ、企業危機管理に伴う法務・労務・財務・広報等の専門家で構成されるクライシス・リスクマネジメント専門企業。

反社会的勢力の見極めから排除実務、企業不祥事等に伴う緊急対策支援に至る「直面する危機(クライシス)」対策等に数多くの実績を有し、実践から導かれた理論に基づき「潜在する危機(リスク)」の発現を未然防止するためのコンサルティングと人的支援を展開する。従来の枠に留まらない危機管理的視点からの実践的なコンプライアンス体制や内部統制システムの構築を多くの企業で手がける。会社法の改正等の経済界の流れを先取りした先駆的企業危機管理論には、上場企業や株式公開を目指す企業だけでなく、金融機関や監査法人からの支持も厚い。

筆者は、企業のリスク抽出・リスク分析ならびにビジネスコンプライアンスを中心とする内部統制システム構築を専門分野とするリスクアナリストとして、これまでに、企業の反社会的勢力排除の内部統制システム構築・運用支援コンサルティングや排除計画の策定・対応支援等の業務を多数手がけるほか、「SPNレポート~企業における反社会的勢力排除への取組み編」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議下の「暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム」での報告をはじめとして、企業の反社会的勢力排除に向けた取組みに関する講演等を数多く行っている。

今回の掲載にあたって

企業が反社会的勢力を排除するために、どのような社内体制を、どのような点に注意して整備すべきか、実務に即した観点でわかりやすくお話していきます。

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