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反社会的勢力を排除する!~そのために必要な社内体制とは?

【第65回】 金融検査事例集および金融モニタリングレポートの公表(1)

本コラムでも毎年取り上げていますが、「金融検査結果事例集(以下「検査事例集」)」の最新版が公表されています。その中から、反社会的勢力(以下「反社」とも表記)への対応やマネー・ローンダリング(以下「マネロン」とも表記)への対応に関する指摘内容について、今回と次回の2回にわたって確認していきたいと思います。

▼ 金融庁「金融検査結果事例集

今回の検査事例集では、「外国銀行在日支店」や「前払式支払手段発行者」「資金移動業者」が新たなカテゴリーとして追加されている点が特徴です。平成25事務年度から始まった新たな金融モニタリングの枠組みの中で実施した「オンサイト・モニタリング(立入検査)」の結果について、直近の指摘事例はもちろん、現時点でも参考となる既存の指摘事例とあわせて公表されています。

反社への対応等については、昨年に引き続き、事前審査(入口)や事後検証(中間)、取引解消(出口)に向けた管理態勢等の様々な問題が抽出されているほか、地域銀行(地方銀行、第二地方銀行等)やその他地域金融機関(信用金庫、信用組合等)等に対する当局の指摘のレベル(要請レベル)がそれぞれ上がっていること、資金移動業者など新たな金融関連事業者については、その取組みレベルの業界内での差が大きい一方で、全体的にはまだまだ低調であることが読み取れます。

また、同じく金融庁からは、昨年から公表が始まった「金融モニタリングレポート」(以下「モニタリングレポート」)の最新版も公表されています。

▼ 金融庁「金融モニタリングレポート(本文)

本モニタリングレポートは、「平成26事務年度 金融モニタリング基本方針」に基づくモニタリングから得られた検証結果や課題を整理したものです。うち、反社管理態勢については、昨年6月の監督指針等の改正を踏まえ、「事前審査」「事後検証」「取引解消」の各段階における反社との関係遮断に向けた取組み状況について、「オンサイト・モニタリング(立入検査)」と「オフサイト・モニタリング(ヒアリングや資料の徴求等)」を組み合わせて実施した結果がまとめられていますので、あわせて紹介したいと思います。

1) 反社データベース(DB)

モニタリングレポートでは、「金融機関が、独自の情報網を駆使したとしても、収集できる反社情報には限界がある」としたうえで、「各金融機関が独自に反社情報を収集するだけでなく、全国銀行協会等の業界団体や全国暴力追放運動推進センターなどから提供を受けた反社情報(外部情報)を積極的に活用することが有益である」と指摘しています。そして、大半の金融機関において、この外部情報を活用しているとの評価がなされています。
さらに、評価すべき事例などとして、以下のようなものが紹介されています。

・    地域銀行において、他の地域銀行と反社情報を共有することで、反社DBの充実を図っている。

・    多くの金融機関では、反社活動の広域化、インターネット支店の開設等への対応として、営業店所在地域内の情報だけでなく、全国ベースの情報を収集している。

全国ベースの情報は、インターネット支店の開設やネット銀行等では既に必須のものである一方で、反社会的勢力の活動が広域化していることをふまえれば、エリア外からの転入等によって新たに取引が発生するリスクは、(営業エリアが限定されている)地域金融機関等においても高まっており、収集すべき反社情報の範囲も自ずと広域化が求められる状況にあります。そのような社会情勢の変化を捉えた問題意識が、多くの金融機関で共有されていることは評価できると思います。

一方で、検査事例集においては、個別の指摘事項として、以下のようなものが取り上げられています(下線部、一部要約は筆者。以下同様)。

・    総務部門は、事前審査を行う際に照合する反社データベースについて、その登録範囲を当行が営業店を有する都道府県に限定しているが、当行がインターネット支店を開設し、全国から預金を受け入れている中、情報を持ち合わせていない営業エリア外における反社との取引に応じてしまうこととなるリスクを踏まえ、反社データベースの登録範囲を拡大すべきかどうかについて検討を行っていない。(中略)事前審査が有効に機能していない実態が認められる。内部監査部門は、反社データベースの登録範囲が適切であるかといった、リスクベースの監査を行うには至っていない。(地域銀行、大中規模)
・    営業推進部門は、融資保証金詐欺や振り込め詐欺などの犯罪に利用された口座として、当行自らが預金保険機構に公告を求めている先を反社会的勢力として登録していない。(地域銀行、中小規模)
・    反社として把握すべき者の対象を当該マニュアルに明確に定めておらず、反社に係る情報収集が限定的となっている。(外国銀行在日支店)
・   総務部門は、反社会的勢力データベースの掲載対象を暴力団員等に限定し、例えば「暴力団の資金獲得活動に与する行為を行っている者」など、暴力団員等以外の者で反社会的勢力に含まれ得る者についての情報収集を行っていない。(生命保険会社)

専門家ご紹介

株式会社エス・ピー・ネットワーク

総合研究室 主任研究員 芳賀  恒人 さん

警視庁・道府県警の出身者をはじめ、企業危機管理に伴う法務・労務・財務・広報等の専門家で構成されるクライシス・リスクマネジメント専門企業。

反社会的勢力の見極めから排除実務、企業不祥事等に伴う緊急対策支援に至る「直面する危機(クライシス)」対策等に数多くの実績を有し、実践から導かれた理論に基づき「潜在する危機(リスク)」の発現を未然防止するためのコンサルティングと人的支援を展開する。従来の枠に留まらない危機管理的視点からの実践的なコンプライアンス体制や内部統制システムの構築を多くの企業で手がける。会社法の改正等の経済界の流れを先取りした先駆的企業危機管理論には、上場企業や株式公開を目指す企業だけでなく、金融機関や監査法人からの支持も厚い。

筆者は、企業のリスク抽出・リスク分析ならびにビジネスコンプライアンスを中心とする内部統制システム構築を専門分野とするリスクアナリストとして、これまでに、企業の反社会的勢力排除の内部統制システム構築・運用支援コンサルティングや排除計画の策定・対応支援等の業務を多数手がけるほか、「SPNレポート~企業における反社会的勢力排除への取組み編」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議下の「暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム」での報告をはじめとして、企業の反社会的勢力排除に向けた取組みに関する講演等を数多く行っている。

今回の掲載にあたって

企業が反社会的勢力を排除するために、どのような社内体制を、どのような点に注意して整備すべきか、実務に即した観点でわかりやすくお話していきます。

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